ワーケーションとは?労働者・企業側のメリット・デメリットも ビジネス By - UPDATE編集部 更新:2021-10-27 新型コロナウイルス感染症の流行により、2021年現在では働き方改革の重要性が高まっている状態です。そのような状況の中、『ワーケーション』は新しい働き方として注目を集めています。 しかし、ワーケーションという言葉をよく見聞きするものの、詳細について知らない人は多いでしょう。 当記事では、ワーケーションの概要について、メリット・デメリットなどを交えつつ解説します。企業によるワーケーションの事例もあわせて紹介するため、ぜひ参考にしてくださいね。 目次 1. ワーケーションとは?1.1. ワーケーションの2つの種類2. ワーケーションのメリット・デメリット2.1. 【労働者のメリット】リフレッシュができる2.2. 【企業側のメリット】社員のエンゲージメントを高める2.3. 【労働者のデメリット】仕事に集中できない可能性がある2.4. 【企業側のデメリット】セキュリティ面での不安が生じる3. ワーケーションでよくある課題と解決策4. 企業によるワーケーションの事例2選5. まとめ ワーケーションとは? ※写真はイメージ ワーケーションとは、仕事を意味する『ワーク(work)』と休暇を意味する『バケーション(vacation)』を組み合わせた造語です。観光地やリゾート地、温泉地などで仕事をしつつ、休暇も楽しむ働き方を指します。 ワーケーションは、2000年代のアメリカで生まれた働き方です。日本では、コロナ禍の2020年に政府が『Go To トラベルキャンペーン』にあわせてワーケーションを推奨したことにより、認知度が高まりました。 オフィス以外の場所で仕事をする点において、ワーケーションはテレワークやリモートワークの一種ととらえられるでしょう。しかし、ワーケーションはテレワークやリモートワークとは異なり、休暇も大きな目的となっているため、区別されることが一般的です。 ワーケーションの2つの種類 ワーケーションは、『仕事目的型』と『旅行目的型』の2種類に分けられます。 ※写真はイメージ 『仕事目的型』は、仕事の合間に休暇を楽しむワーケーションであり、主な目的はあくまで仕事をすることです。仕事目的型の例としては、チーム全員で観光地やリゾート地などに出向くワークスタイルや、出張後や研修後に休暇を付加するワークスタイルが挙げられます。 『旅行目的型』は、旅行先での休暇を楽しむことに重きを置く、福利厚生の側面が大きいワーケーションです。仕事目的型と異なり、仕事の仕方は個人の裁量に任せられます。また、休暇取得を伴う『休暇型』と休暇取得を伴わない『非休暇型』に分けられる点も、旅行目的型の特徴です。『休暇型』としては休暇中に入った重要な会議にだけ参加するワークスタイル、『非休暇型』としては移住体験施設を利用するワークスタイルが挙げられます。 ワーケーションのメリット・デメリット ワーケーションは国や自治体が推進している働き方です。しかし、大きなメリットを期待できる一方でさまざまなデメリットもあるため、制度の導入に慎重になる企業は少なくありません。 労働者と企業の2つの視点からワーケーションのメリットとデメリットを紹介します。 【労働者のメリット】リフレッシュができる ※写真はイメージ ワーケーションによって労働者が得られる最大のメリットは、リフレッシュができることです。 オフィスを離れて観光地やリゾート地、温泉地に身を置くことで、心も身体も開放感を味わえます。また、仕事を終えたらすぐに観光を楽しめるため、瞬時にストレスを発散できる点もワーケーションの醍醐味といえるでしょう。 わざわざ長期休暇を取得する必要がないことも、ワーケーションの大きなメリットです。仕事の調整が難しい人でも、ワーケーションを利用すれば最低限の仕事をこなすだけで実質的な長期休暇を楽しめます。 【企業側のメリット】社員のエンゲージメントを高める ※写真はイメージ ワーケーションの導入によって企業側が享受できるメリットは、社員のやる気を高められることです。 ワーケーションを推進することは、ワークライフバランスの確保につながります。仕事も私生活も充実した社員はモチベーションが高まり、企業にも大きな信頼を寄せるようになるでしょう。最終的には、社員一人ひとりの生産性が向上したり、定着率が上がったりすることが期待できます。 また、有給休暇の消化につなげられる点も嬉しいメリットです。ワーケーションの導入は企業の健全経営に効果を発揮するでしょう。 【労働者のデメリット】仕事に集中できない可能性がある ※写真はイメージ 労働者におけるワーケーションのデメリットは、仕事に集中できない可能性があることです。 ワーケーションでは他者の目を気にする必要がなく、自分のペースで仕事に取り組むことができます。しかし、他者の目がないことから休暇を優先してしまい、仕事がうまく進まないケースも少なくありません。 ワーケーションで生産性を高めるためには、仕事と休暇のメリハリをつけることが必須です。ワーケーションをする際には、仕事をする時間、必ず終わらせるべきタスクをしっかり定めておきましょう。 【企業側のデメリット】セキュリティ面での不安が生じる ※写真はイメージ ワーケーションを導入することによる企業側のデメリットは、セキュリティ面での不安が生じることです。 インターネット環境を整えているホテル・旅館が、必ずしも高いセキュリティ対策を行っているとは限りません。セキュリティ対策が不十分なフリーWi-Fiを利用すると、機密情報を盗まれてしまう可能性があるため注意が必要です。 また、仕事用のノートパソコンをのぞき見されたり、盗難されたりする危険性もあります。ワーケーションを実施する際には、社員教育などを通してセキュリティ意識を高めておくことが大切です。 ワーケーションでよくある課題と解決策 ※写真はイメージ 企業がワーケーションを導入するためには、いくつかの課題をクリアすることが必要です。ワーケーションでよくある課題としては、以下の2つが挙げられます。 ■課題1:労働時間の把握が難しくなる ワーケーションではタイムカードを使うことができないため、労働時間の把握が難しくなります。しかし、労働基準法を遵守するためにも、ワーケーション時の正確な労働時間の把握は欠かせません。ワーケーションを実施する際には、オンラインにも対応した勤怠管理システムを導入するなど、労働時間を把握できるシステムを構築しておきましょう。 ■課題2:費用は誰がどの程度払うのか分からない 企業の制度としてワーケーションを導入する場合には、ワーケーションの費用は誰が負担するのかという点も重要です。全額を労働者の個人負担にすると労働者にかかる負担が大きくなり、労働者の企業に対する不満が募ってしまう可能性が高いため、おすすめしません。 ワーケーションを導入する際は、企業側が費用を部分的に補助することが大切です。ワーケーションにかかる費用負担が減ると、ワーケーションの利用者が増えるとともに効果が高まると期待できます。 企業によるワーケーションの事例2選 ワーケーションを導入した結果、成果を上げている企業は多く存在します。ここでは、企業によるワーケーションの事例を2つ紹介します。 国土交通省観光庁 スクリーンショット ■株式会社野村総合研究所 株式会社野村総合研究所は、2017年から徳島県三好市にある古民家で約1か月間、15人前後で滞在する『三好キャンプ』を年3回実施中です。参加した社員は地域の人と交流し、ともに地域貢献や地域課題解決に取り組むことにより、イノベーションの可能性を高めています。 国土交通省観光庁 スクリーンショット ■ユニリーバ・ジャパン ユニリーバ・ジャパンは、2016年に働く場所や時間を自由に選べる働き方『WAA(ワー)』を導入しました。平日5時から22時の間であれば自由に勤務できるため、ワーケーションを楽しんでいる社員も少なくありません。ユニリーバ・ジャパンの取り組みは、社員の企業に対する貢献意欲やモチベーションの向上につながっています。 まとめ ワーケーションは、仕事と休暇の両方を充実させられる新しい働き方です。ワーケーションを実施すると労働者はリフレッシュでき、企業は社員のモチベーションを高められます。一方、労働者は仕事に集中できない可能性があり、企業はセキュリティ面での不安が生じるため、対策も欠かせません。 ワーケーションの導入を検討している場合は、今回紹介した課題の解決策や事例を参考にし、社員も企業もメリットを享受できるワーケーションを考案しましょう。 [文・構成/UPDATE編集部] 関連ワード ワーケーション仕事旅行 この記事をシェアする Share Post LINE
新型コロナウイルス感染症の流行により、2021年現在では働き方改革の重要性が高まっている状態です。そのような状況の中、『ワーケーション』は新しい働き方として注目を集めています。
しかし、ワーケーションという言葉をよく見聞きするものの、詳細について知らない人は多いでしょう。
当記事では、ワーケーションの概要について、メリット・デメリットなどを交えつつ解説します。企業によるワーケーションの事例もあわせて紹介するため、ぜひ参考にしてくださいね。
ワーケーションとは?
※写真はイメージ
ワーケーションとは、仕事を意味する『ワーク(work)』と休暇を意味する『バケーション(vacation)』を組み合わせた造語です。観光地やリゾート地、温泉地などで仕事をしつつ、休暇も楽しむ働き方を指します。
ワーケーションは、2000年代のアメリカで生まれた働き方です。日本では、コロナ禍の2020年に政府が『Go To トラベルキャンペーン』にあわせてワーケーションを推奨したことにより、認知度が高まりました。
オフィス以外の場所で仕事をする点において、ワーケーションはテレワークやリモートワークの一種ととらえられるでしょう。
しかし、ワーケーションはテレワークやリモートワークとは異なり、休暇も大きな目的となっているため、区別されることが一般的です。
ワーケーションの2つの種類
ワーケーションは、『仕事目的型』と『旅行目的型』の2種類に分けられます。
※写真はイメージ
『仕事目的型』は、仕事の合間に休暇を楽しむワーケーションであり、主な目的はあくまで仕事をすることです。
仕事目的型の例としては、チーム全員で観光地やリゾート地などに出向くワークスタイルや、出張後や研修後に休暇を付加するワークスタイルが挙げられます。
『旅行目的型』は、旅行先での休暇を楽しむことに重きを置く、福利厚生の側面が大きいワーケーションです。仕事目的型と異なり、仕事の仕方は個人の裁量に任せられます。
また、休暇取得を伴う『休暇型』と休暇取得を伴わない『非休暇型』に分けられる点も、旅行目的型の特徴です。
『休暇型』としては休暇中に入った重要な会議にだけ参加するワークスタイル、『非休暇型』としては移住体験施設を利用するワークスタイルが挙げられます。
ワーケーションのメリット・デメリット
ワーケーションは国や自治体が推進している働き方です。しかし、大きなメリットを期待できる一方でさまざまなデメリットもあるため、制度の導入に慎重になる企業は少なくありません。
労働者と企業の2つの視点からワーケーションのメリットとデメリットを紹介します。
【労働者のメリット】リフレッシュができる
※写真はイメージ
ワーケーションによって労働者が得られる最大のメリットは、リフレッシュができることです。
オフィスを離れて観光地やリゾート地、温泉地に身を置くことで、心も身体も開放感を味わえます。
また、仕事を終えたらすぐに観光を楽しめるため、瞬時にストレスを発散できる点もワーケーションの醍醐味といえるでしょう。
わざわざ長期休暇を取得する必要がないことも、ワーケーションの大きなメリットです。仕事の調整が難しい人でも、ワーケーションを利用すれば最低限の仕事をこなすだけで実質的な長期休暇を楽しめます。
【企業側のメリット】社員のエンゲージメントを高める
※写真はイメージ
ワーケーションの導入によって企業側が享受できるメリットは、社員のやる気を高められることです。
ワーケーションを推進することは、ワークライフバランスの確保につながります。仕事も私生活も充実した社員はモチベーションが高まり、企業にも大きな信頼を寄せるようになるでしょう。
最終的には、社員一人ひとりの生産性が向上したり、定着率が上がったりすることが期待できます。
また、有給休暇の消化につなげられる点も嬉しいメリットです。ワーケーションの導入は企業の健全経営に効果を発揮するでしょう。
【労働者のデメリット】仕事に集中できない可能性がある
※写真はイメージ
労働者におけるワーケーションのデメリットは、仕事に集中できない可能性があることです。
ワーケーションでは他者の目を気にする必要がなく、自分のペースで仕事に取り組むことができます。
しかし、他者の目がないことから休暇を優先してしまい、仕事がうまく進まないケースも少なくありません。
ワーケーションで生産性を高めるためには、仕事と休暇のメリハリをつけることが必須です。ワーケーションをする際には、仕事をする時間、必ず終わらせるべきタスクをしっかり定めておきましょう。
【企業側のデメリット】セキュリティ面での不安が生じる
※写真はイメージ
ワーケーションを導入することによる企業側のデメリットは、セキュリティ面での不安が生じることです。
インターネット環境を整えているホテル・旅館が、必ずしも高いセキュリティ対策を行っているとは限りません。セキュリティ対策が不十分なフリーWi-Fiを利用すると、機密情報を盗まれてしまう可能性があるため注意が必要です。
また、仕事用のノートパソコンをのぞき見されたり、盗難されたりする危険性もあります。
ワーケーションを実施する際には、社員教育などを通してセキュリティ意識を高めておくことが大切です。
ワーケーションでよくある課題と解決策
※写真はイメージ
企業がワーケーションを導入するためには、いくつかの課題をクリアすることが必要です。ワーケーションでよくある課題としては、以下の2つが挙げられます。
■課題1:労働時間の把握が難しくなる
ワーケーションではタイムカードを使うことができないため、労働時間の把握が難しくなります。しかし、労働基準法を遵守するためにも、ワーケーション時の正確な労働時間の把握は欠かせません。
ワーケーションを実施する際には、オンラインにも対応した勤怠管理システムを導入するなど、労働時間を把握できるシステムを構築しておきましょう。
■課題2:費用は誰がどの程度払うのか分からない
企業の制度としてワーケーションを導入する場合には、ワーケーションの費用は誰が負担するのかという点も重要です。
全額を労働者の個人負担にすると労働者にかかる負担が大きくなり、労働者の企業に対する不満が募ってしまう可能性が高いため、おすすめしません。
ワーケーションを導入する際は、企業側が費用を部分的に補助することが大切です。
ワーケーションにかかる費用負担が減ると、ワーケーションの利用者が増えるとともに効果が高まると期待できます。
企業によるワーケーションの事例2選
ワーケーションを導入した結果、成果を上げている企業は多く存在します。ここでは、企業によるワーケーションの事例を2つ紹介します。
国土交通省観光庁 スクリーンショット
■株式会社野村総合研究所
株式会社野村総合研究所は、2017年から徳島県三好市にある古民家で約1か月間、15人前後で滞在する『三好キャンプ』を年3回実施中です。
参加した社員は地域の人と交流し、ともに地域貢献や地域課題解決に取り組むことにより、イノベーションの可能性を高めています。
国土交通省観光庁 スクリーンショット
■ユニリーバ・ジャパン
ユニリーバ・ジャパンは、2016年に働く場所や時間を自由に選べる働き方『WAA(ワー)』を導入しました。平日5時から22時の間であれば自由に勤務できるため、ワーケーションを楽しんでいる社員も少なくありません。
ユニリーバ・ジャパンの取り組みは、社員の企業に対する貢献意欲やモチベーションの向上につながっています。
まとめ
ワーケーションは、仕事と休暇の両方を充実させられる新しい働き方です。ワーケーションを実施すると労働者はリフレッシュでき、企業は社員のモチベーションを高められます。
一方、労働者は仕事に集中できない可能性があり、企業はセキュリティ面での不安が生じるため、対策も欠かせません。
ワーケーションの導入を検討している場合は、今回紹介した課題の解決策や事例を参考にし、社員も企業もメリットを享受できるワーケーションを考案しましょう。
[文・構成/UPDATE編集部]